姥石の軒下に宿る石仏群 |
その中央、姥神 |
〜鹿間廣治『奪衣婆―山形のうば神』より〜
姥石 山形市松波
かつては、ここはあまり人家もない静かな所だったのだろうが、今は住宅地の中。奪衣婆は姥石と呼ばれる大きな石の上にいる(註:現在は石の下)。
奪衣婆の頭が無い。そばに立っている地蔵様のような石仏にも無い。横倒しになっている二体にも首から上が無い。みんな明治の馬鹿げた廃仏毀釈の犠牲者たちだ。近所の老人に聞いたら、昔はもっと石仏の数も多かったのだが、いつのまにか少なくなっていったのだという。石碑や石仏が盛んに盗まれた時期があったから、誰かが持ち去ったのだろうと。
姥石のそばに太い藤の木があり、石の上にもその枝が伸びている。春の季節には、藤の花と、まだ小さい木だが、石の脇に植えられている桜の花が、藤色と桜色とで仏たちを慰めてくれるのであろう。
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